メインコンテンツへ
LINEアイコン 友だち募集中
ⓘ 当サイトはアフィリエイト広告を利用しています。

「夏競馬は牝馬を狙え」は本当か 過去10年2万5748レースの独自集計で見えた7月の逆転

7月だけ牝馬の勝率が牡馬を上回る


真夏の競馬場で芝コースを駆ける競走馬たちのイメージ
ℹ AI生成
この画像・動画は、AIによって生成された架空のイメージであり、実在の人物・馬・団体等を描写したものではありません。
また、肖像権・パブリシティ権に配慮し、特定の人物に類似させるための学習データ使用やプロンプト調整等はおこなっておりません。

[使用ツール・モデル]
・gpt-image-2

2025年7月の小倉記念で、9番人気の牝馬イングランドアイズが牡馬・セン馬15頭を相手に勝ち、単勝16.3倍の波乱を演出しました。夏になると、こういう場面をやけによく見かけます。

「夏競馬は牝馬を狙え」。競馬場で古くから言い継がれてきた格言です。それなら実際の数字はどうなのか。2016年から2025年の10年間について、牡馬と牝馬が同じレースを走った混合戦2万5748レース、のべ36万頭を集計してみました。

結論から書くと、格言はかなり本当です。混合戦での牝馬の勝率は、3月には牡馬側の6割弱しかありません。それが夏へ向かって一段ずつ持ち上がり、7月、牡馬を追い越します。一年のうちで牝馬が牡馬と互角以上に渡り合えるのは、夏だけです。
ただ、調べるほどに引っかかったのは効き方の偏りでした。効くのは夏の、芝の、それも古馬。なぜそこに偏るのか。

目次

「夏は牝馬」という古い格言


この格言に、はっきりした出どころはありません。体の小さい牝馬は暑さに強いのだといい、夏は一線級の牡馬が休むから相手も楽になる、おまけに斤量も軽い、と理屈が添えられてきました。
もっともらしい話ほど、一度自分で数えてみたくなります。

月別データで見る牝馬の勝率のうねり


集計の物差しを先に決めておきます。対象はJRAの平地レースのうち、牡馬(セン馬を含む)と牝馬の両方が出走した混合戦だけ。牝馬限定戦を混ぜると牝馬の成績が実力以上に膨らむので、外してあります。出走取消や競走中止で走れなかった馬も頭数に入れません。期間は2016年から2025年の丸10年。該当する混合戦は2万5748レース、走った馬はのべ36万頭になります。
その全頭を、月ごとに牡牝で分けて数えました。単勝回収率は、その月に出走した牝馬全頭の単勝を100円ずつ買った場合の払戻の割合です。
※本記事のデータは編集部による独自集計です。

牝馬の勝率 牡馬側の勝率 牝馬の複勝率 牝馬の単勝回収率
1月5.0%7.8%16.4%63.4%
2月4.9%8.0%16.3%67.2%
3月4.6%8.1%15.4%57.6%
4月5.1%7.7%16.1%63.2%
5月5.7%7.6%17.5%71.7%
6月7.1%7.4%20.8%87.2%
7月7.6%7.5%22.7%73.3%
8月7.2%7.3%21.5%78.6%
9月6.9%7.7%21.0%79.5%
10月6.5%8.1%20.0%67.3%
11月5.4%8.0%17.3%54.6%
12月5.4%7.7%16.8%66.7%

牡馬側の勝率には、季節がありません。1月から12月まで、7.3%から8.1%の狭い帯に収まったままです。ところが牝馬側は、3月の4.6%を底に5月、6月と切り上がっていき、7月に7.6%。この月だけ、牡馬側の7.5%をわずかに上回ります。8月も7.2%対7.3%でほぼ互角。そして秋が深まるにつれて、また元の水準へ沈んでいきます。

3着以内に入る率でも形は同じです。牝馬の複勝率は3月の15.4%から7月の22.7%まで上がり、この月は牡馬側と小数点1桁まで並びました。

この7月の行は、抽出条件の間違いを疑って確かめ直したほどです。追いついているどころか、勝率では鼻の差ながら前に出ている。牡馬側が一年じゅう平らなぶん、牝馬の季節のうねりが際立ちます。むしろ春先の牝馬がここまで勝てていないことのほうが、発見かもしれません。

ついでに、格言が生まれたはずの時代までさかのぼってみました。1986年から1995年の10年間で同じ集計をすると、7・8月の牝馬は勝率9.9%。牡馬側の8.9%を上回っていました。冬春が6.0%対9.2%ですから、季節の落差はいまより大きい。40年前の夏は、もっとはっきり牝馬のものだったわけです。格言は、当時の実感をそのまま言葉にしたものなのでしょう。

効くのは芝・古馬・本州の暑い開催


夏のレース後に水を浴びて体を冷ます競走馬のイメージ
ℹ AI生成
この画像・動画は、AIによって生成された架空のイメージであり、実在の人物・馬・団体等を描写したものではありません。
また、肖像権・パブリシティ権に配慮し、特定の人物に類似させるための学習データ使用やプロンプト調整等はおこなっておりません。

[使用ツール・モデル]
・gpt-image-2

夏の持ち上がりは、どこでも一様に起きているわけではありません。
芝とダートで割った勝率がこちらです。比較しやすいよう、7・8月の真夏と1〜4月の冬春に絞りました。

区分 牝馬の勝率 牡馬側の勝率
夏(7・8月)の芝7.8%7.4%
夏(7・8月)のダート6.8%7.5%
冬春(1〜4月)の芝5.4%8.2%
冬春(1〜4月)のダート4.3%7.7%

逆転が起きているのは夏の芝だけです。牝馬7.8%に対して牡馬側7.4%。ダートは、冬春の大差(4.3%対7.7%)がだいぶ縮まるものの、順位までは入れ替わりません。夏場に「牝馬だから」と手を伸ばすなら、まず芝です。

年齢で切ると、もう一つ意外な顔が見えます。夏の逆転を支えているのは、若馬ではなく4歳以上の古馬の牝馬でした。3月の古馬混合戦では牝馬4.6%対牡馬側8.2%の大差。それが7月には牝馬6.4%対牡馬側5.7%と、順位ごと入れ替わります。2歳戦は同じ7月でも牝馬8.6%対牡馬側9.2%と逆転しておらず、若駒の仕上がりの早さを持ち出す説明はどうも苦しい。ではなぜ2歳だけ蚊帳の外なのかと問われると、こちらも腑に落ちる答えを持ち合わせていません。

場所の偏りは、もっと面白い出方をしました。同じ7・8月でも、涼しい札幌・函館では牝馬7.9%対牡馬側8.3%で、ふだんどおり牡馬が上。ところが福島・新潟・小倉といった本州の暑い開催に限ると、牝馬7.2%対牡馬側7.0%で形勢が裏返ります。気温の高い場所でだけ、牝馬が前へ出ています。

斤量でも牝馬限定戦でも説明がつかない


まず斤量の話です。混合戦では性別による負担重量の差が設けられていて、牝馬は牡馬より軽い斤量で走れます。今回の集計でも、混合戦に出た牝馬の平均斤量は牡馬側より冬春で2.2キロ、夏で1.7キロ軽くなっていました。ただ、差が大きいのは冬春のほうです。軽さの恩恵が主役なら、牝馬は冬春にこそ浮上していないとおかしな話で、これでは夏の逆転を説明できません。

「夏は牝馬限定戦が減るので、ふだんは限定戦に回る強い牝馬が混合戦へ流れてくるだけ」という説明も、ときどき見かけます。これも数えてみると、7月の牝馬限定戦は464レース、8月は426レースで、月平均の417レースをむしろ上回っていました。いちばん少ないのは9月の274レース。夏に限定戦が減るという前提そのものが、実際の番組表と合っていません。

残るのは暑さです。馬の体温調節や発汗の仕組みまで、このデータベースで覗くことはできません。ただ、涼しい北海道では逆転が起きず、暑い本州でだけ起きるというさっきの分布は、牝馬は暑さに強いという古い説明と、素直につじつまが合います。そしてもう一つ、夏は重賞級の牝馬が混合戦へ数多く出てくるという事実があります。7・8月の混合重賞では出走馬の29.8%が牝馬で、ほかの季節の18.5%から大きく跳ね上がる。強い牝馬が夏に集まる、この頭数の勢いも格言の体感を支えてきたはずです。

決め手を一つに絞ることは、正直なところできませんでした。暑さへの強さと、夏に集う牝馬の層の厚さ。この二つが重なったあたりが実情だろうと考えています。

牝馬の単勝を買い続けたら儲かるのか


では、夏の牝馬の単勝を買い続ければ儲かるのか。先ほどの表に載せた単勝回収率が、その答えです。
いちばん高い6月でも87.2%。7月は73.3%、8月は78.6%で、どの月も100%には届きません。目についた牝馬を手当たり次第に買うようなやり方では、確実に損をします。この点、格言を額面どおりに受け取るわけにはいきません。

それでも、季節差そのものは見過ごせない大きさです。冬場の回収率が50%台から60%台を這うのに対し、6月から9月は73%から87%で推移します。馬券を買う側の相場観が、夏の牝馬をまだ少しだけ安く見積もっているのでしょう。狙うなら、牝馬だから買うのではなく、夏の芝の古馬混合戦あたりまで条件を絞ったうえで、オッズと相談することになります。

なお、6月の87.2%には注釈が要ります。2016年6月25日の東京の平場で、14番人気の3歳牝馬オヒアレフアが単勝349.9倍で勝つ事件があり、この一発が月の数字をかさ上げしています。それを除いて計算し直しても83.4%。それでも全月のトップ水準ですから、6月の牝馬に妙味があること自体は動きません。

余談になりますが、真夏の新潟のパドックで、うちわを片手にした年配のファンが連れ相手に「夏は牝馬だよ」と講釈しているのを聞いたことがあります。ああいう独り講釈の積み重ねが、オッズの歪みを少しずつ埋めていくのかもしれません。

夏の重賞を席巻する牝馬たち


夏の夕暮れのゴール前で競り合う競走馬たちのイメージ
ℹ AI生成
この画像・動画は、AIによって生成された架空のイメージであり、実在の人物・馬・団体等を描写したものではありません。
また、肖像権・パブリシティ権に配慮し、特定の人物に類似させるための学習データ使用やプロンプト調整等はおこなっておりません。

[使用ツール・モデル]
・gpt-image-2

重賞に目を移すと、夏の牝馬はもっと露骨です。
2016年から2025年の7・8月に行われた混合重賞は131レース。うち39レースを牝馬が勝ちました。29.8%、ほぼ3割です。この間の牝馬の出走シェアが29.8%ですから、頭数の取り分どおり、過不足なく勝ち切っている計算になります。それ以外の季節は、出走シェアも勝ち星の割合も2割弱に落ちます。夏は「牝馬がよく勝つ」というより、「強い牝馬がどっと押し寄せて、そのまま勝っていく」季節と言ったほうが実態に近そうです。

直近の2025年は、その勢いが特に目立った夏でした。7・8月の混合重賞13レースのうち5つを牝馬が勝っています。顔ぶれは次のとおりです。

レース 勝った牝馬 人気 単勝
小倉記念イングランドアイズ9番人気16.3倍
関屋記念カナテープ1番人気4.4倍
アイビスサマーダッシュピューロマジック2番人気4.6倍
中京記念マピュース5番人気8.7倍
新潟記念シランケド2番人気3.4倍

筆頭は小倉記念のイングランドアイズです。牡馬・セン馬15頭を向こうに回した9番人気での戴冠で、単勝は16.3倍。夏のハンデ重賞らしい波乱でしたが、「夏は牝馬」を頭の隅に置いていた人には、拾えないオッズではなかったはずです。

そして夏の牝馬の話は、結局アイビスサマーダッシュに行き着きます。新潟の直線1000mで争われるこのG3は、2001年の創設から2025年までの25回のうち牝馬が18勝。2020年からは6連勝中で、牡馬が勝った年のほうが珍しいという、JRAの重賞でも指折りの牝馬天国になっています。短距離、真夏、そして酷暑の新潟。今回の集計で浮かんだ「効く条件」が、このレースには最初から全部そろっているわけです。

で、今年です。2026年の夏は、7月26日までの混合戦で牝馬の勝率7.0%、牡馬側7.9%。ここまでは、めずらしく牡馬側が踏みとどまっています。単年の数字は上下にぶれるものなので、10年分の傾向が崩れたと見るのはさすがに早計ですが、この夏の後半で牝馬がどこまで戻すか。答え合わせは、8月が終わった頃にまた数えるつもりです。

よくある質問


Q. 夏競馬で牝馬は本当に強くなりますか?
強くなります。冬から春の混合戦では牡馬側に勝率で2ポイント以上離されている牝馬が、6月から8月はほぼ横並びまで来ます。7月に限ればわずかに牝馬が上でした(2016〜2025年・JRA平地の独自集計)。秋が進むと、また元の牡馬優位に戻っていきます。

Q. ダートや涼しい競馬場でも夏は牝馬が有利ですか?
いいえ。勝率の逆転が確認できたのは夏の芝だけで、ダートは差が縮まるにとどまります。涼しい札幌・函館でも牡馬優位のままでした。狙いどころは本州の暑い開催の芝、それも4歳以上の古馬混合戦に絞られます。

Q. 夏に牝馬の単勝を買い続ければ儲かりますか?
ベタ買いでは損をします。回収率がいちばん高い6月でも9割弱で、100%を超える月は一つもありません。ただ、冬場と比べて水準がひと回り高いのは事実なので、この格言は「買う理由」ではなく「絞り込みの物差し」として使うのが現実的です。

Q. 夏の重賞でも牝馬は狙えますか?
狙えます。7・8月の混合重賞は過去10年で131レースあり、その約3割を牝馬が制しました。2025年だけでも5勝で、うち小倉記念は9番人気の波乱です。牝馬が25回中18勝しているアイビスサマーダッシュは、その最たる例といえます。

まとめ


格言のたぐいは、数えてみるとあっけなく崩れることが少なくありません。「夏は牝馬」は逆でした。40年前の夏にも牝馬は牡馬より勝っていて、2025年の夏にも混合重賞を5つ勝っている。走る馬も買う人間も40年で総取り替えになったのに、傾向だけが夏のたびに戻ってくる。そういう格言です。

秋風が立つ頃には、牝馬の勝率はまた元の水準へ沈んでいきます。それが分かっていても、7月になると性別欄の「牝」の字をつい数えてしまう。40年前のファンも、同じ手つきで新聞の同じ欄を追っていたはずです。

どの競馬予想サイトを選べばいいか
迷っていませんか?

ランキングで予想サイトを比較する

この記事をシェアする