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凱旋門賞に挑んだ日本馬の57年全記録

1着は57年で1度も無し


秋の欧州の競馬場で、雨に濡れた芝の上を馬群が大きなコーナーを回っていく場面を高い位置から捉えたイメージ
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この画像・動画は、AIによって生成された架空のイメージであり、実在の人物・馬・団体等を描写したものではありません。
また、肖像権・パブリシティ権に配慮し、特定の人物に類似させるための学習データ使用やプロンプト調整等はおこなっておりません。

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凱旋門賞の日本馬の欄に、1着はありません。1969年のスピードシンボリが挑んでから57年がたちました。その間に日本馬が出走したのは23年で、35頭が海を渡り、延べ38走を走っています。
いちばん近づいたのが2着で、それが4回あります。1999年エルコンドルパサー、2010年ナカヤマフェスタ、2012年と2013年のオルフェーヴルです。

この「2着4回」は、よく年号だけで並べられます。ただ、38走を1走ずつ表に落として馬場や前哨戦の欄まで埋めていくと、4回が同じ列に固まっていることに気づきます。
何がそろった年に前で粘れて、何がそろわない年に二桁着順で終わるのか。馬場、前哨戦、日本での人気。この3つで38走を割ってみます。

目次

日本馬38走の全記録


日本馬の定義を先に置きます。美浦・栗東の調教師が管理していた馬だけを数え、日本で生まれた馬でも海外の厩舎に所属していれば入れていません。
着順の「外」は着外、つまり順位が公式記録に残っていないことを指します。「失」は失格です。
※本記事のデータは編集部による独自集計です。

馬名 着順 頭数 騎手 馬場
1969スピードシンボリ24野平祐二不明
1972メジロムサシ1819野平祐二
1986シリウスシンボリ1415M.フィリップロン
1999エルコンドルパサー214蛯名正義不良
2002マンハッタンカフェ1316蛯名正義
2004タップダンスシチー1719佐藤哲三
2006ディープインパクト8武豊
2008メイショウサムソン1016武豊稍重
2010ナカヤマフェスタ219蛯名正義
2010ヴィクトワールピサ719武豊
2011ヒルノダムール1016藤田伸二
2011ナカヤマフェスタ1116蛯名正義
2012オルフェーヴル218C.スミヨン
2012アヴェンティーノ1718A.クラストゥス
2013オルフェーヴル217C.スミヨン
2013キズナ417武豊
2014ハープスター620川田将雅
2014ジャスタウェイ820福永祐一
2014ゴールドシップ1420横山典弘
2016マカヒキ1416C.ルメール
2017サトノダイヤモンド1518C.ルメール
2017サトノノブレス1618川田将雅
2018クリンチャー1719武豊
2019キセキ712C.スミヨン
2019ブラストワンピース1112川田将雅
2019フィエールマン1212C.ルメール
2020ディアドラ811J.スペンサー不良
2021クロノジェネシス714O.マーフィー
2021ディープボンド1414M.バルザローナ
2022タイトルホルダー1120横山和生
2022ステイフーリッシュ1420C.ルメール
2022ディープボンド1820川田将雅
2022ドウデュース1920武豊
2023スルーセブンシーズ415C.ルメール稍重
2024シンエンペラー1216坂井瑠星
2025ビザンチンドリーム517O.マーフィー
2025クロワデュノール1417北村友一
2025アロヒアリイ1617C.ルメール

2006年のディープインパクトは3位で入線しましたが、禁止薬物の検出により失格になっています。後続が1つずつ繰り上がったため、着順の記録としては3着の枠が空いた形です。
このあとの集計では、着順が確定した36走だけを使います。1969年のスピードシンボリは順位が残っていないため、2006年とあわせて2走を外しました。

もう一つ、開催場が毎年ロンシャンだったわけではありません。スタンド改修のため2016年と2017年はシャンティイ競馬場で行われ、2018年からは改修後の「パリロンシャン」という表記になっています。

2着4回は、すべて力の要る馬場で出ている


着順が確定した36走を、馬場ごとに分けて数えました。

馬場 走数 平均着順 最高着順 5着以内
1112.91着6着0回
稍重27.00着4着1回
2110.71着2着5回
不良25.00着2着1回

重と不良を合わせた23走の平均が10.22着、良と稍重を合わせた13走が12.00着でした。平均の差そのものは2着分もありません。
平均では見えません。差が出ているのは表の上の端です。2着4回の内訳は1999年が不良、2010年・2012年・2013年が重で、4回とも力の要る馬場で出ています。

そして良馬場の11走は、最高が2014年ハープスターの6着でした。5着以内が1つもありません。
ただし良馬場には、記録から消えた掲示板がもう1つあります。2006年のディープインパクトは良馬場で3位入線し、失格になりました。「良馬場では届いていない」とだけ書くと、この1走が抜け落ちます。

馬場だけで説明できるのか、という疑問は当然出ます。重い年がたまたま多かったせいで、そう見えているだけという可能性もあります。
実際、36走のうち重・不良は23走で、6割以上を占めています。それでも良馬場は11走あり、その11走で掲示板がゼロです。

フォワ賞かニエル賞を勝った7走


雨の降る競馬場で、泥をはねながら直線を追い込んでくる1頭をラチ際の低い位置から捉えたイメージ
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日本馬の遠征でよく議論になるのが、現地で1戦叩くか、日本から直行するかという選択です。同じ舞台で行われるフォワ賞とニエル賞は、その定番の前哨戦にあたります。
そこで、前哨戦の「有無」で分けて数えてみました。

前哨戦を使った24走のうち着順が付いた23走が平均10.52着。日本から直行した13走のうち着順が付いた12走が平均10.92着。1972年のメジロムサシだけは前哨戦の記録が確認できず、この2つの群から外しています。
ほとんど差がありません。叩いたかどうかでは分かれていない、というのが実測の答えでした。

分かれ目は別のところにありました。フォワ賞かニエル賞を1着で通過して本番に向かった走だけを取り出すと、様子が変わります。

区分 走数 平均着順 5着以内
フォワ賞かニエル賞を1着で通過76.14着5回
それ以外2912.00着2回

7走の中身は、1999年エルコンドルパサー(フォワ賞1着→2着)、2012年オルフェーヴル(フォワ賞1着→2着)、2013年オルフェーヴル(フォワ賞1着→2着)、2013年キズナ(ニエル賞1着→4着)、2016年マカヒキ(ニエル賞1着→14着)、2021年ディープボンド(フォワ賞1着→14着)、2025年ビザンチンドリーム(フォワ賞1着→5着)。
勝って向かっても二桁に沈んだ馬が2頭いる一方、7走のうち5走が5着以内です。

残り29走で5着以内に来たのは2回だけ。2010年のナカヤマフェスタ(フォワ賞は2着)と、2023年のスルーセブンシーズ(前哨戦なし)です。
ただ、7走です。現地で前哨戦を勝つこと自体が難しいので、勝てた馬はもともと状態が良かった、という順番でもあり得ます。

日本で推された馬ほど負けている


日本国内で凱旋門賞の馬券が発売されるようになったのは2016年からです。だから人気の記録が残っているのは、その年以降の19走に限られます。
ここでいう人気は、日本で売れた票の順番です。フランス現地の人気とは別物で、たとえば2016年のマカヒキは日本では1番人気でしたが、現地では2番人気でした。

日本での単勝人気 走数 平均着順 最高着順 5着以内
1〜3番人気713.14着7着0回
4番人気以下1211.83着4着2回

日本で1〜3番人気に推された7走は、いちばん良くて7着でした。残る6走はすべて二桁で、最下位は19着です。掲示板がありません。
その7着が2021年のクロノジェネシス。以下タイトルホルダー、シンエンペラー、マカヒキ、クロワデュノール、サトノダイヤモンド、ドウデュースと並びます。

逆に5着以内に来た2走は、4番人気だった2025年ビザンチンドリームの5着と、5番人気だった2023年スルーセブンシーズの4着でした。
日本のファンが期待を寄せた馬ほど、現地では前に行けていません。

人気の高い馬は、日本での実績が抜けている馬です。つまり日本の馬場と展開で強かった馬。そこが評価されるほど、欧州の重い芝と長い直線では別の資質を問われます。

挑戦の8割は、この16年に集まった


38走を年代で割ると、挑戦の密度がまるで違っていました。1960年代から2000年代までの41年間で8走しかありません。それに対して2010年以降の16年間には30走が詰まっています。
2010年代だけで18走あり、2020年からの6年でも12走を数えました。凱旋門賞は、この15年ほどで日本競馬の年中行事になったといえます。

着順の分布も見ておきます。確定した36走のうち、2着が4回、3〜5着が3回、6〜9着が6回、10〜14着が14回、15着以下が9回でした。
二桁着順は23走を数え、全体の63.9%にあたります。前で粘れた年は、記録の上では少数派です。

2回以上挑んだ馬は3頭います。ナカヤマフェスタは2010年の2着から2011年に11着、オルフェーヴルは2012年の2着から2013年も2着、ディープボンドは2021年の14着から2022年に18着でした。
2回目に着順を上げた馬はいません。オルフェーヴルだけが同じ2着を並べています。同じ舞台に戻ることが加点にならないというのは、遠征の難しさをそのまま示しているようにも読めます。

騎手では武豊とC.ルメールが各6走で最も多く騎乗しました。蛯名正義は4走のうち1999年と2010年の2度、2着に持ってきています。C.スミヨンも3走で2012年・2013年と2着を2回続けました。
調教師では池江泰寿が5走、二ノ宮敬宇が3走を送り出しています。2着4回の送り出し元は、この2厩舎しかありません。

年齢別では3歳が8走、4歳が14走、5歳が10走と、4歳から5歳に山があります。平均着順も4歳の9.85着と5歳の9.90着が良く、7歳以上の4走はすべて14着以下に沈みました。
牝馬の挑戦は4走しかありません。2014年のハープスターが最初で、2020年ディアドラ、2021年クロノジェネシス、2023年スルーセブンシーズと続きます。5着以内に入ったのは2023年のスルーセブンシーズだけですが、残る3頭も6着・7着・8着と、二桁には沈んでいません。

最後に頭数を見ます。14頭以下の7走が平均8.71着、15〜17頭の13走が9.92着、18頭以上の16走が12.56着と、頭数が増えるほど着順は下がっていました。
ただ、着順を頭数で割った値はどの区分も6割強で変わりません。つまり相対的な位置は変わっておらず、多頭数だから負けたという説明は成り立ちません。平均着順だけを見て「大所帯の年は割引」と決めると、読み違えます。

73頭のうちの7頭


2026年の凱旋門賞は10月4日の日曜日、パリロンシャン競馬場の芝2400mで行われます。例年どおり10月第1日曜です。
登録の締切時点で集まったのは73頭。フランス27頭、イギリス21頭、アイルランド12頭、日本7頭、ドイツ6頭という内訳でした。前哨戦のフォワ賞・ニエル賞・ヴェルメイユ賞は9月6日に組まれています。

JRA所属で登録された7頭は次のとおりです。登録は出走ではありませんから、この中の何頭が実際に馬運車に乗るかは、9月下旬の確定登録を待つことになります。

馬名 性齢 調教師 近年の実績
アドマイヤテラ牡5友道康夫2026年 阪神大賞典1着・天皇賞(春)3着
アロヒアリイ牡4田中博康2025年 凱旋門賞16着
ジュウリョクピエロ牝3寺島良2026年 優駿牝馬1着
シンエンペラー牡5矢作芳人2024年 凱旋門賞12着
ビザンチンドリーム牡5坂口智康2025年 凱旋門賞5着
フォーエバーヤング牡5矢作芳人2026年 サウジカップ1着
メイショウタバル牡5石橋守宝塚記念 2025・2026年連覇

このうちフォーエバーヤングは、2026年6月に陣営が凱旋門賞の見送りを表明しました。アメリカのダート路線を選んでいます。
残る6頭の去就は、本稿の執筆時点では確認できていません。ここは各厩舎の発表を待つところです。

顔ぶれを見て気づくのは、リピーターの多さです。アロヒアリイ、シンエンペラー、ビザンチンドリームの3頭が経験者。前の年に5着まで来たビザンチンドリームは、フォワ賞を勝って本番に向かった7走のうちの1頭でもあります。
ここまで数えてきた並びに当てはめるなら、見どころは当日の馬場と、9月6日の前哨戦です。日本での人気は、あまり当てになりません。

よくある質問


Q. 日本馬は凱旋門賞で何度挑戦して、最高は何着ですか?
1969年のスピードシンボリから2025年まで、23年で延べ38走・35頭が挑戦しています。最高着順は2着で、1999年エルコンドルパサー、2010年ナカヤマフェスタ、2012年と2013年のオルフェーヴルの4回です。勝ち馬はまだ出ていません。

Q. 日本馬に3着はないのですか?
着順としては一度もありません。ただし2006年のディープインパクトが3位で入線しており、禁止薬物の検出により失格となって記録から消えています。後続が1つずつ繰り上がったため、結果として3着の枠が空いた形になりました。

Q. 日本馬が好走したときの馬場はどうでしたか?
2着4回はすべて重馬場か不良馬場でした。着順が確定した36走を馬場別に分けると、良馬場の11走は最高が2014年ハープスターの6着で、5着以内が一度もありません。ただし2006年ディープインパクトの3位入線は良馬場でのことです。

Q. 現地で前哨戦を1戦使ったほうが成績は良いのですか?
前哨戦の有無だけでは差が出ていません。使った23走が平均10.52着、日本から直行した12走が平均10.92着でほぼ同じです。差がついたのはフォワ賞かニエル賞を1着で通過した7走で、平均6.14着・5着以内5回でした。

Q. 2026年の凱旋門賞はいつ行われますか?
2026年10月4日の日曜日、パリロンシャン競馬場の芝2400mで行われます。登録総数は73頭で、うちJRA所属は7頭でした。登録は出走を意味しないため、実際の顔ぶれは9月下旬の確定登録で決まります。

まとめ


57年で38走、最高は2着が4回。その4回はすべて重馬場か不良馬場で出ていて、良馬場の11走には5着以内が1つもありませんでした。
前哨戦は使ったかどうかでは分かれず、フォワ賞かニエル賞を勝って向かった7走だけが平均6.14着と際立っていました。日本で1〜3番人気に推された7走は、掲示板に届いていません。

38走を57年で割れば、1年あたり0.7走です。この薄さで語れることには限りがあります。
それでも57年分を並べ直すと、日本馬が前で粘れた年には、雨で緩んだ芝と、現地で1つ勝ってきた実績が重なっていたことが見えてきます。

2026年の登録には7頭が名を連ね、そのうち3頭は経験者です。出走馬が固まるのは9月下旬、前哨戦は9月6日、本番は10月4日です。
ここまで数えたかぎり、いちばん効いていたのは馬名の欄ではなく馬場の欄でした。

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