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武豊の家系図と兄弟・家族 武家4代の騎手一族【邦彦】【幸四郎】【英智】

日本競馬を支える騎手・調教師一族


「天才」「名人」「ターフの魔術師」。
派手な異名がこれだけ並ぶ家系は、日本の競馬界で数えるほどしかありません。

武豊騎手は、武邦彦元騎手の三男として生まれました。弟は武幸四郎調教師、再従兄弟(はとこ)に武英智調教師。家系図をさかのぼると、明治の馬術名手・武彦七に行き着きます。4世代、およそ150年。途切れずに騎手と調教師を出し続けてきた一族、それが武家です。

しかも、過去の名家ではありません。2026年の春には57歳になった豊騎手が安田記念と宝塚記念を連勝しましたし、弟やはとこの厩舎からも重賞勝ち馬が出ています。

目次

武豊の家系図:曾祖父・武彦七から続く4世代


武家と競馬の関わりは、明治期に始まります。
一族の祖・武彦七は薩摩の園田家に生まれ、武家へ養子に入った人物です。馬術の名手として知られ、ここから騎手・調教師の家系が枝分かれしていきました。豊騎手・幸四郎調教師の系統と、英智調教師の系統は、この彦七のところでつながっています。次の表が武家4世代の家系図です。

世代人物武豊騎手との関係競馬との関わり
第1世代武彦七(1860-1928)曾祖父一族の祖。明治期の馬術の名手
第2世代武芳彦祖父(彦七の長男)園田牧場を継承。馬主協会の要職も務めた
第2世代武平三大叔父(彦七の四男)調教師
第3世代武邦彦(1938-2016)父(芳彦の三男)騎手・調教師。「ターフの魔術師」
第3世代武永祥父の従兄弟(平三の子)元騎手。英智調教師の父
第4世代武豊(1969-)本人(邦彦の三男)騎手。JRA通算4,671勝
第4世代武幸四郎(1978-)弟(邦彦の四男)元騎手・調教師
第4世代武英智(1980-)再従兄弟(永祥の子)元騎手・調教師

よく話題になるのは兄弟の構成です。
豊騎手は三男。上に兄が2人いますが、騎手・調教師として競馬界に進んだのは、三男の豊と9歳下の四男・幸四郎の2人でした。両親は父・邦彦と母・洋子さん。そして豊騎手の妻は、1995年に結婚した元タレントの佐野量子さんです。

家系図の少し外側にも、競馬史に関わる名前があります。彦七の実兄・園田実徳。明治期に目黒競馬場の建設と運営を手掛けた実業家です。目黒競馬場といえば、1932年に第1回の日本ダービーが行われた舞台。そのダービーを90年あまりのちに史上最多の6回勝つのが、彦七の曾孫にあたる豊騎手です。できすぎた巡り合わせですが、事実だから仕方ありません。

武邦彦:「ターフの魔術師」と呼ばれた名手


家系図の第3世代、武家を一躍有名にした名手が武邦彦元騎手です。
1938年生まれ。1957年に騎手免許を取得し、10代でJRAデビューを果たします。

昭和期に活躍したターフの魔術師のイメージイラスト
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この画像は、AIによって生成された架空のイメージであり、実在の人物・馬・団体等を描写したものではありません。
また、肖像権・パブリシティ権に配慮し、特定の人物に類似させるための学習データ使用やプロンプト調整等はおこなっておりません。

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派手な追い込みや豪快な逃げで魅せるタイプではありませんでした。馬の気持ちを読んで息を計り、ここという一瞬で仕掛けて勝つ職人肌の騎乗です。ファンや関係者から「名人」「ターフの魔術師」と呼ばれたのも、この芸風があったからこそです。
名馬トウショウボーイとのコンビでは、1976年の有馬記念、翌1977年の宝塚記念・高松宮杯(当時はGⅠ昇格前のオープン重賞)を制し、当時の競馬ファンを大いに沸かせました。

1980年1月7日には、関西所属騎手として史上初の通算1000勝を達成。
1985年2月の引退時には、JRA通算1163勝(当時史上第5位)と重賞80勝。関西最多勝記録の保持者でした。

騎手引退と同じ1985年、邦彦元騎手は調教師へ転身します。
管理馬には、1989・1990年JRA賞最優秀スプリンターのバンブーメモリーや、2000年の朝日杯3歳ステークス(現・朝日杯フューチュリティステークス)を10番人気で制したメジロベイリーがいます。あの朝日杯は、学生の時分に中山のスタンドで見ていました。10番人気の激走に、まわりの歓声が一拍遅れたのを覚えています。
2009年に70歳定年制で調教師業を退き、2016年8月12日、77歳で永眠しました。

「武邦彦の競馬は美しい」。そう評された名手でした。

武豊:日本競馬を変え続ける天才騎手


邦彦元騎手の三男・武豊騎手は、1969年3月15日、京都府京都市伏見区淀に生まれました。
翌1970年、父の拠点でもある滋賀県栗太郡栗東町(現・栗東市)に移り住みます。幼い頃から父の背中を追って、騎手を志した子供時代でした。

1984年に競馬学校3期生として入学。1987年3月1日、JRAデビュー。
デビュー直後から類い稀なセンスを発揮した豊騎手を見て、ある名伯楽は「天才」と呼んだと伝わります。以降40年近く、その呼称は色褪せていません。

令和を駆ける天才ジョッキーのイメージイラスト
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この画像は、AIによって生成された架空のイメージであり、実在の人物・馬・団体等を描写したものではありません。
また、肖像権・パブリシティ権に配慮し、特定の人物に類似させるための学習データ使用やプロンプト調整等はおこなっておりません。

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記録は挙げ始めるときりがありません。柱になるのはJRA通算4,671勝、GⅠ86勝、日本ダービー6勝。いずれも史上最多で、2026年7月時点でなお更新中です。GⅠの数は地方・海外を含めると100勝を超え、天皇賞(春)8勝やリーディングジョッキー18回といった数字も、それぞれ歴代最多です。

中でもダービー6勝は歴代単独1位で、2位ですら3勝です。年に一度しか巡ってこない府中の3歳頂上決戦で、ここまで一人勝ちした騎手は他にいません。

近年の代表騎乗馬といえば、6度目のダービーを運んだドウデュースの名前が真っ先に挙がります。
2021年朝日杯フューチュリティステークスで2歳GⅠを制し、2022年に6度目の日本ダービー制覇。その後も2023年有馬記念を制し、2024年は天皇賞(秋)・ジャパンカップを連勝。令和を代表する名コンビでした。

2024年11月には、競馬界からは異例の黄綬褒章を受章しています。
昭和・平成・令和の3つの元号でJRA・GⅠ制覇を達成した日本人騎手は、いまのところ武豊騎手ただ一人。

2026年6月には、8番人気のシックスペンスで安田記念を勝ち、翌週の宝塚記念は2番人気のメイショウタバルで優勝。メイショウタバルは前年に7番人気で同じレースを勝った馬で、コンビでの宝塚記念連覇です。豊騎手自身は宝塚記念6勝目、安田記念4勝目。57歳の6月に、GⅠを2週続けて獲ってしまいました。

重賞勝利は1987年のデビュー年から40年、一度も途切れていません。地元・京都競馬場では、2023年も主要4場別リーディングジョッキーランキングに名を連ね、若手・中堅と同じ土俵で数字を残しています。

武幸四郎・武英智:弟と再従兄弟の活躍


武邦彦元騎手の四男にあたるのが、武豊騎手の弟・武幸四郎元騎手(現調教師)です。
1978年11月3日生まれ。1997年3月1日、阪神競馬場でJRAデビューを果たすと、翌日の3月2日には阪神11R・読売マイラーズカップ(GⅡ)で11番人気のオースミタイクーンを勝たせてしまいます。JRA史上最短のデビュー2日目重賞勝利。現在も破られていない記録です。
しかもオースミタイクーンを管理していたのは、父・邦彦調教師。息子のデビュー2日目に、父の管理馬で重賞制覇という出来事でした。

騎手・幸四郎の名前を最も高く掲げたのは、メイショウマンボです。
3歳だった2013年、5月の優駿牝馬(オークス)、10月の秋華賞、そして11月のエリザベス女王杯。3歳牝馬でありながら、同年GⅠ3連勝という偉業を達成しました。
オークスは9番人気での勝利。大本命ではない馬を勝負どころで前へ動かす手綱さばきが、当時大いに話題となります。

GⅠは通算6勝。10番人気のティコティコタックで制した2000年の秋華賞を皮切りに、6勝すべてが2番人気以下という、大一番で人気薄を勝たせる騎手でした。派手さでは兄に及ばないにせよ、この「勝つときはいつも人気の外から」という並びには、兄の記録とはまた別の味があります。
JRA騎手としての通算成績は、9,121戦693勝(重賞28勝)。2017年2月いっぱいで約20年の騎手生活に幕を下ろし、翌2018年3月に調教師として厩舎を開業しました。

幸四郎厩舎の初出走馬グアンの鞍上を務めたのは、兄・武豊騎手。
グアンは勝利を収め、開業初出走で初勝利という幕開けになります。調教師としての重賞も、地方交流を含めてここまで8勝。うち3勝は兄・豊を鞍上に迎えてのもので、2026年3月の日経賞は横山典弘騎手とのコンビで制しました。

3歳牝馬を駆ける若手騎手のイメージイラスト
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武家の血を再従兄弟(はとこ)として継ぐのが、武英智調教師です。
英智調教師は1980年12月31日生まれ。父は武永祥元騎手、祖父は武平三元調教師という競馬一家の出身です。
曾祖父は武家の祖・武彦七。武豊・幸四郎兄弟とは、曾祖父を共有する再従兄弟の関係にあたります。

1996年に競馬学校15期生として入学。1999年、栗東・領家政蔵厩舎で騎手デビュー。
約18年の騎手生活を経て、2017年に調教師免許を取得し、幸四郎調教師と同じ2018年3月に厩舎を開業しました。

開業してまもなく、メイケイエールが厩舎の名を全国に知らしめます。気性の激しさばかりが話題になった快速牝馬ですが、重賞6勝。2020年の小倉2歳ステークスから2021年のチューリップ賞までの重賞3勝は、武豊騎手が手綱を取りました。

そして2024年2月18日、管理馬ペプチドナイルが藤岡佑介騎手とのコンビで、11番人気の低評価を覆してフェブラリーステークスを制覇。単勝は3,800円つきました。開業から約6年、初のJRA・GⅠ制覇です。2026年2月には京都記念をジューンテイクで制して平地の重賞は10勝。障害でもジューンベロシティが東京ハイジャンプ連覇など重賞6勝を挙げていて、厩舎の重賞は合わせて16勝になっています。

武家の血を引く現役JRA調教師は、この2人です。

早朝の調教を見守るホースマンのイメージイラスト
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武家の4人が日本競馬に残した記録


次の表は、4人の代表的な記録の一覧です。

人物立場代表的な記録
武邦彦(1938-2016)騎手→調教師関西所属騎手として史上初の通算1000勝。JRA通算1163勝・重賞80勝。調教師としてバンブーメモリー・メジロベイリーを管理
武豊(1969-)騎手JRA通算4,671勝・GⅠ86勝・日本ダービー6勝はいずれも史上最多(2026年7月時点)。天皇賞(春)8勝・菊花賞5勝、リーディング18回・騎手大賞9回
武幸四郎(1978-)騎手→調教師JRA史上最短のデビュー2日目重賞勝利。騎手GⅠ6勝(メイショウマンボで牝馬GⅠ3連勝)。調教師として重賞8勝(地方交流を含む)
武英智(1980-)騎手→調教師メイケイエールで重賞6勝、ペプチドナイルで2024年フェブラリーステークス制覇。調教師として重賞16勝(障害6勝を含む)

騎手としての記録更新はほぼ豊騎手が一手に引き受け、弟とはとこは厩舎で実績を積む役割分担になっています。4世代のあいだ、GⅠ表彰式の真ん中に立つ人間がこの家から出続けてきました。
ここまで長く騎手・調教師を輩出している家系は、親子3代で騎手が続く横山一族くらいしか思い当たりません。

よくある質問


Q. 武豊騎手は何人兄弟ですか?
武豊騎手は武邦彦元騎手の三男として生まれ、上に兄が2人います。騎手・調教師として競馬界に進んだのは、三男の豊騎手と9歳下の四男・武幸四郎調教師(元騎手)の2人です。

Q. 武豊騎手の妻は誰ですか?
元タレントの佐野量子さんです。1995年に結婚しました。

Q. 武幸四郎調教師と武豊騎手の関係は?
実の兄弟です。父・武邦彦元騎手の三男が豊騎手、四男が幸四郎調教師で、2人は9歳離れています。幸四郎調教師は騎手時代にGⅠ6勝を挙げ、2018年からは調教師として厩舎を開業しています。

Q. 武英智調教師と武豊騎手の関係は?
再従兄弟(はとこ)の関係です。2人は曾祖父・武彦七を共有しており、英智調教師の父は武永祥元騎手、祖父は武平三元調教師です。2024年にはペプチドナイルでフェブラリーステークスを制し、JRA・GⅠ初制覇を果たしました。

まとめ


武幸四郎調教師の厩舎開業は2018年3月1日。それから2日後の3月3日、阪神競馬場で初めて管理馬を送り出すレースを迎えました。
その鞍上には、兄・武豊騎手の名前がありました。
そして管理馬グアンが、阪神の直線で先頭に立つ。

家族であり、ずっとライバルでもあった2人だからこそ生まれた一場面です。
それから8年。2026年の宝塚記念では、57歳になった兄が連覇を決めました。中山のスタンドでメジロベイリーを見上げてから四半世紀、武の名前は、たぶん来週もどこかの出馬表に載っています。

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