日本ダービー史上もっとも着差を付けた馬は？
競馬の祭典と呼ばれる日本ダービー(G1)は、すべてのホースマンの目標であり、是が非でも手にしたいタイトルだといわれています。
そんな日本ダービーは2025年で第92回を迎えますが、1984年のグレード制導入後で日本ダービー史上もっとも着差を付けたダービー馬をご存知でしょうか？
それは今から四半世紀以上も前、1987年の日本ダービーを制したメリーナイスです。
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また、肖像権・パブリシティ権に配慮し、特定の人物に類似させるための学習データ使用やプロンプト調整等はおこなっておりません。
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・StableDiffusion
・Juggernaut XL(KandooAI)
あの三冠馬ナリタブライアンや日本近代競馬の結晶ディープインパクトでも塗り替えることができなかった偉大な記録を打ち立てたメリーナイスとは、いったいどのような馬だったのでしょうか。
1987年は、日本競馬界において近年稀に見る強い馬たちが集結した年でした。
その中でも代表されるのが、父トウショウボーイ、母の父にシンザンを持ち、世代ナンバーワン候補だったサクラロータリーや同じ冠名のサクラスターオー。
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そして、シンボリ軍団の秘密兵器といわれ、無敗の3冠馬シンボリルドルフと同じ血統背景を持つマティリアル、金色の鬣と尻尾を持つ尾花栗毛のゴールドシチーといった名馬たちです。
そんな名馬たちが集った年に生まれた四白流星のメリーナイスは、父がコリムスキー、母ツキメリー、その父シャトーゲイという両親のもと、ポリネシアン4×5、ハイペリオン5×5×5という多重インブリードが発生する血統背景を持っていました。
ちなみに、四白流星とは馬固有の特徴を表す組み合わせの1つのことをいい、分かりやすくたとえますと、4本の脚に白い靴下を履いていて、額から鼻筋にかけて白い流星がある馬を指します。
そのメリーナイスは、決して他の強豪馬たちに劣っているわけではありませんが、不思議にも、常に彼らの下に見られていました。
それは、この世代がのちに”悲劇の世代”と呼ばれることに理由があるかも知れません。
悲劇の世代とは、いったいどういう意味なのでしょうか。
まず、3歳(現2歳)王者を決める朝日杯フュチュリティーステークス(G1)では、メリーナイスが勝利するも、その勝利は素質馬サクラロータリーが故障で出走できなかったため、棚から牡丹餅状態だったと思われたことにあります。
サクラロータリーは、この時点で3戦3勝と2歳王者の最有力候補でした。
しかし故障が原因で競走馬としての能力を失ってしまい、早期引退となります。
まさに、この時点で世代トップを失った日本競馬界の悲劇だったといえるでしょう。
続いて同じ冠名を持つサクラスターオーの存在です。
その馬名の通りスター性を持ったサクラスターオーは、皐月賞(G1)を制した後、故障にて日本ダービーを回避します。
その後、休養明け初戦となった菊花賞(G1)でも勝利を収め、見事2冠馬に輝きました。
そして、次走の有馬記念(G1)では、最終コーナーを迎えた時点で故障発生にて競走中止。予後不良と判断されました。
こちらも2冠馬を失った悲劇といえます。
次にマティリアルもこの世代では大きな影響力を与えた1頭です。
シンボリ牧場にて誕生し、将来フランスで走らせることを目標にしていたため、冠名はなく「素材」を意味するマティリアルと命名されました。
ただ、日本ダービーでは1番人気に支持されるほどの素質馬でしたが、結果的にクラシック路線には縁がありませんでした。
その後、古馬となり素質が開花し、重賞レースを勝ちますが、不運にも右前脚を骨折してしまいます。
何とか手術は成功するものの術後の痛みからくるストレスにより大腸炎を発症し、5歳という若さでこの世を去りました。
まさに名門シンボリ牧場の悲劇といえるでしょう。
そして、ゴールドシチーは、当時の阪神3歳ステークス(G1)で西の3歳王者に輝く逸材でした。
ちなみに当時は現在の2歳牝馬限定戦はなく、東と西それぞれで3歳ナンバーワンを決める番組構成で、前述の通り東の3歳王者はメリーナイスです。
その後、ゴールドシチーは、皐月賞・菊花賞ともにサクラスターオーの2着という成績を残しています。
それほどの実力馬でしたが、気性の荒さからか種牡馬入りが叶わず、引退後は乗馬として第二の馬生を送ります。
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ところが気性難から放牧地で他馬と喧嘩を繰り返し、気が付くと右前脚を浮かせた状態で立っているところを発見されて予後不良と診断。
わずか7年という短い命を失いました。
世代を代表する4頭の悲劇。これが、多くのファンが涙したとともに”悲劇の世代”と呼ばれる所以です。
そんな悲劇の世代のど真ん中で25歳まで寿命を全うしたメリーナイス。
2歳王者でありながら、日本ダービーを勝利するまで1番人気に支持されたことがなく、また違った”悲劇”という点においてインパクトが弱いです。
そのため、日本ダービー馬でありながらも常に格下として、見られていたのかも知れません。
1984年のグレード制導入以降、日本ダービーにおいて2着に6馬身差という着差で制し、今も最大着差の記録を保持しているのがメリーナイスです。
なお、20世紀の名馬ランキングで1位に輝いた3冠馬ナリタブライアンや日本史上最強馬との呼び声高いディープインパクトでさえ、2着馬に5馬身差でした。
ちなみにメリーナイスは、20世紀の名馬ランキング100ではランク外です。
そう考えると、如何にメリーナイスが付けた着差は、凄かったといえます。
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しかし、この年の日本ダービーでは世代最強と言われたサクラロータリーや皐月賞馬サクラスターオーの両馬が不在でした。
また、1番人気だったマティリアルは絶不調、2番人気のゴールドシチーは気の悪さが出てしまい、本来の実力が発揮できなかったといわれています。
そして、他の出走馬も世代トップクラスの実力がなければ日本ダービーには出走できません。
その世代において選ばれた、24頭を相手に2着に入線したスイフトスワローに6馬身差を付けての優勝は紛れもない事実であり、メリーナイスにはその実力と運が兼ね備わっていた証拠だといえるのではないでしょうか。
第54代日本ダービー馬となったメリーナイスは、その後、夏の休養を経て菊花賞トライアル・セントライト記念（G2）に勝利し、菊花賞に駒を進めました。
しかし、その菊花賞では1番人気に支持されますが、9着と惨敗します。
そして、次走の有馬記念(G1)では発走直後に騎手を振り落として競走中止となり、メリーナイスにとっては、悪夢の有馬記念となりました。
翌年には、仕切り直しとして天皇賞・春(G1)を含めた重賞レースに出走するも惨敗が続きます。
その後、秋に再起を計りますが、今度は調教中に骨折してしまいました。
こうして、ファンの間でも日本ダービー史上最高の着差という記録を残した割には、その後、ほぼ勝てなかったという印象を残したままターフを去ることとなります。
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同世代の名馬たちが相次ぐ故障によってこの世を去り”悲劇の世代”と呼ばれた中で世代頂点に立ったメリーナイス。
また、有馬記念では発走直後に落馬というファンの中に痛々しい記憶を残した日本ダービー馬は、また違った意味で”悲劇”となったのです。
今回は、日本ダービー史上もっとも着差を付けた馬メリーナイスを紹介しました。
この世代は悲運が続き、メリーナイス自身も不可解な不運に見舞われる中、歴史的名馬でも塗り替えられなかった記録を保持し続ける運を持つ不思議な名馬だと思います。
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そう考えると、メリーナイスは、この”悲劇の世代”で日本ダービーを勝つため、そして偉大な記録を残すために生まれてきたのかも知れません。
そして、メリーナイスが持つ日本ダービーの最大着差記録をどの馬が更新するのか、また違った角度から、この先の日本ダービーにも注目したいですね。
